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薬の袋を詰める手が、微かに震える。
やめて…
やめてよ…
そんな話、聞きたくないのに…
これ以上、私の心を壊さないでよ…
「櫻井さんも、そんなレアな水島の姿見たかったでしょ?」
地に沈んでいく私の耳に捩じ込まれた、酷薄な声。
ハッとして顔を上げると、明らかに私の反応を期待する森先生の不敵な笑みがあった。
この男は…
言葉に出来ない憎しみが込み上げる。
閉じた唇に力を入れ、ゆっくりと引きあげた。
「そうですね。水島先生が旅行から帰ったら、みんなでからかいましょうね」
何食わぬ顔でそう言って、私は黙々と作業を続けた。
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