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「俺、嘘ついても仕方ないから正直に謝ったんだ。…目の前の神様に。
【神様。俺はこれからさゆりを幸せにします。いい夫になるよう努力します。
でも…俺の中にはもう一人、大切な…忘れたくない女性がいます。この気持ちはさゆりへの裏切りだとわかっています。だけど想いはどうしようもありません。俺は酷い男です…神様、すみません】…俺、知らず知らずのうちに目の前にいる神父と十字架に向かって必死に謝ってた。こんな時だけ、クリスチャンでもないくせに勝手だよな」
先生は照れくさそうに言って、目を細めて笑った。
「先生…」
私の目には、涙が滲んでいた。
「ははは!なんかキザだったな。ごめんごめん」
彼は照れくさそうに笑って、私の頭をポンポンと軽く叩いた。
私はうつ向き、首を横に振る。
「先生…ありがとう。不謹慎だけど…嬉しい」
流れ落ちそうになる涙を堪え、笑顔で先生の瞳を見つめる。
「…ん」
先生は私を優しく見つめ返して、微笑みながら頷いた。
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