帰国

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部屋に帰ると急いでCDを取りだし、ドキドキしながら曲を流した。     ラブソングにしてはアップテンポな曲… ベランダに椅子を出し、歌詞を目で追う。     「あの高速道路の橋を駆け抜けて…二人ここから遠くへと逃げ去ってしまおうか…」 この歌詞…   あの夜と同じだ…。     私と先生の想いが通じたあの夜、私達は港の橋の上に車を止め工場の灯りを眺めていた。     高速道路… 海沿いの工場…     あの幸せだった時間が一瞬のうちに蘇る。       ―――先生も?       先生もあの時間を思い出しながら、この曲を聞いていたの?     あなたも、私と同じ気持ちなの?     抑えきれない感情が溢れ、涙がぽろぽろと零れ落ちる。 
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