結婚前夜

19/26
256人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
『頼るなって事じゃなくて…、まず彼とちゃんと向き合って欲しい。俺の存在は抜きにして。唯がいくら辛くても、俺は側にはいてあげられない。 唯を支えていくのは彼だし、彼を支えていくのも唯なんだ…。それが結婚をする上での責任だと思う』     先生は、悲観する私に諭すように言葉を続けた。     先生の言いたい事も、それが正しいということも分かる。     結婚は恋愛とは違う…     何かあれば、家族も、お互いを囲む人々も巻き込む…。     何より家庭を持つという、大人としての【責任】が精神を縛り付ける。     私は、ただ黙って先生の話を聞いていることしかできなかった。 『唯…でも、これだけは忘れないで欲しい。俺はいつも唯を見守ってる。 どうしても辛いとき、自分ではどうしようもない時…そんな時は、いつでも俺は支えるから…心の支えになるから…。 唯は一人じゃない。だから唯は安心して前を向いて歩いていける。唯、幸せになるんだよ』   そう言う先生の声は、微かに掠れていた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!