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「私、そろそろ帰るね。久しぶりの仕事だから早めに寝たいし」
「俺もあと少し仕事を片付けて帰るわ」
「可愛い奥さんの待つ、愛の巣に?」
「…唯、俺に叱られたいの?」
彼は口を尖らせ拗ねたふりをする。
先生の反応はいつも可愛い。…見ているだけで心が癒される。
「だって、私は帰っても一人ぼっちだもん。つまんな~い」
眉を八の字にする彼を見ながら、わざと甘えた声で言う。
「そうか…旦那さんは出張か。一人は淋しいな」
先生は少し間を空け、私を気遣うように静かな声を落とした。
一人は淋しい?…私、淋しそうに見えるのかな…。
向けられる視線が優しい程、胸が痛くなる。
「別に。慣れてるからいいけどねっ」
しいて明るい声で言って、「じゃあね!」と手を振り休憩室の扉を開けた。
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