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新しい生活
突然登場した彼の姿を見て、胸がドキッと大きな音を立てた。
「…た…ただいま」
驚きのあまり舌が縺れ、胸の鼓動が早くなる。
「はははっ、唯なんか固まってるよ?」
「だって!そりゃ驚くよ。まさか、今日先生と会うなんて思ってなかったから」
「俺は唯に会えると思ってたよ。あ、俺も珈琲もらっていい?」
先生は明るい声でそう言って、珈琲カップを取り出した。
「あ…私が入れるよ。先生は座ってて」
私は慌てて立ち上がり、先生の持つカップに手を伸ばした。
「ありがとう。ならお願いします」
彼は私に、爽やかな笑顔と一緒にカップを渡した。
先生は濃い目のブラックが好き。
珈琲スプーン3杯にポットのお湯を注ぐと、湯気と共に珈琲のいい香りがした。
「唯に珈琲入れて貰うの初めてだな」
「そう言えば、そうだね」
カップを持ち振り返ると、先生がニコニコしながらこっちを見ていた。
たったそれだけで、私の胸がキュンと甘い音を立てる。
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