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「で?結局、そのまどかとか言う女とはヤったの?ヤってないの?」
綾子が私に缶ビールを手渡した。
「…その言い方、下品なんですけど」
苦笑いをしながら差し出されたビールを受け取った。
「下品も何も、そこが一番重要でしょうが!」
ベッドにもたれ掛かり、綾子は冷えた缶ビールの蓋を開ける。
直人に打ち明けられたあの日から、1週間が過ぎた。
私たち夫婦は、あれ以来まどかの話には触れていない。
それどころか、直人は前以上に優しくなった。
私に気を使い、壊れ物を扱うかの様に接する直人。
彼のよそよそしくも精一杯の償いの気持ちが、正直私には辛かった。
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