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「…私には誠実さも優しさもない。ただ、先生への許されない想いと、結婚という形だけの女の幸せ…、その両方を守ろうとした愚かな女。もう、自分がどうしたいのかも分からなくなってくる」
「ねぇ…唯。あんたは確かに欲張りだ。酷い女だ。でも、やってしまった事は今更どうしようもない。
このままじゃ前に進めないんでしょ?本当に今更だけど、今やっと決断する時が来たんじゃない?
先生との関係をきっぱり切って、自分のした罪を背負って、直人の言葉を信じて二人で生きていくか。先生への想いを貫くために直人を切るか。
後者を選んだ場合、かなりの修羅場が待ってる事は間違いないけど。…先生の今の気持ちも分からないしね」
「…それって…奥さんから先生を奪うって事?」
【略奪愛】…
それは夢の中では望んでも…
現実的には考えもしなかった禁断の愛の形。
私たちが望んだものは…
【相手の幸せを願う見守る愛】
「…そんな事…」
綾子の言葉に鳥肌が立った。
「どっちにしても、つらい思いをするのは確か。結果によっては多くの人を傷つける…。
でも、はっきりけじめを付けずにダラダラと関係を続ける方のがもっと残酷な事だと思う…。
幸いにして両方の夫婦には子供がいない。勿論、簡単に結論を出せる事じゃないけど…
このまま辛い結婚生活を送るんだったら、離婚を考える方法もあるんじゃない?」
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