真夜中の電話

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しばらく机の上に置いた携帯を見つめる。     どうして、まどかは今日電話してきたの?     直人が出張だと知っていたの?   でも、出張から戻って来ているとは知らなかった?     一体、どこまで連絡を取り合ってるの?     私は再び直人の携帯に手を伸ばした。     唇を噛み、顔を強ばらせながら発信履歴を確認する。   「……」 ―――まどかと電話をした履歴は無い。     そして次にメールの確認。     中身は、ほとんどが会社の同僚か友達からの内容であった。       ―――本当に?     本当にまどかとは連絡してないの?     カチカチ音を立てて、メールが過去に遡る。     …まどかとのメールを削除してるの?   カチカチカチカチ…     速くなるプッシュ音が、心の苛立ちを表していた。     カチカチカチカチカチカチ……カチ。      私…   何してるの?   どうしてこんな事になったの?     こんな事、したくないのにっ!      涙がぽろぽろと溢れ、携帯の上に置いた指にポトリと涙が落ちた。
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