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全ての部屋の消灯が終わり、私は取り上げた栗羊羹を持ってステーションへと戻った。
「あれ?先輩、それどうしたんですか?」
一緒に準夜勤をしている奈美が、私の手元を覗き込んだ。
「あぁ、これ三浦さんが隠し持ってたから取り上げてきた。冷蔵庫に入れて置いて、家族に返そうと思って」
私はプラプラと羊羹の入った袋を振り、奈美に見せた。
「また三浦さん!?あの人もホント懲りないよねぇ~。もしかして、ナースに叱られるの楽しんでんじゃない?」
奈美は袋を見てケラケラと笑った。
「それって…やっぱ、俺の患者の話だよね?」
パソコンに指示入力をしていた水島先生が振り返り、ばつが悪そうに苦笑いをした。
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