消灯後の密談

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「先生からも叱ってくださいよ~。前回は柏餅で、今回は栗羊羹。血糖のコントロール改善傾向なし。ヘモグロビンA1Cにおいては9を飛び出していく勢いですよ?」   そう言って、私は深いため息をついた。    「いやぁ~、俺はちゃんと叱ってるんだけどなぁ」   水島先生は首を傾げ「ウ~ン」と、眉間に深いしわを寄せた。     「先生は言い方が優しすぎるんですよ!患者さんになめられたらどうするんですか!もっとビシッとバシッと言ってください!」   私に続いて、奈美まで口を尖らせ先生を責め立てる。     「…何か俺、全く威厳無しの駄目ドクターみたいなんですけど…」   彼は私と奈美の迫力に尻込みしながら苦笑いを浮かべた。     「そんな酷い事は言ってませんよ。もし、思っていたとしても」   私はわざとらしく「ふふふ」と笑う。     「うわっ!ひでぇ~。はっきり言ってんじゃん!」   先生は口を尖らせ声を上げた。     「そんな拗ねなくってもいいのに。先生って可愛いね~」     「おい!可愛いって言うな!」     「きゃははは!先輩の水島先生弄りって、いつ見ても笑えるぅ~」   奈美が私達のやり取りを見て大笑いをした。
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