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「先輩、4人のオムツ交換を順番にしてくるので、うちのチームのコールが鳴ったらお願いします」
奈美が時計を見て、カルテ記載の手を止めた。
「いいよ。コールは私が対応しておくから」
私はレントゲンと検査伝票の整理をしながら奈美に言った。
奈美と同時に、指示出しに来ていた研修医も挨拶をしてステーションから去って行った。
心電図モニターの音と、私が伝票を触るカサカサと紙の捲れる音。
そして、水島先生がパソコンのキーを押す音だけがステーションに響く。
「…唯は、来週の創立記念パーティーに出席するの?」
沈黙の中、先生の声が控えめに響いた。
「うん。偶然次の日が休みになってたから、思いっきり飲めるしね。…と言うより、綾子に強制参加と脅された。先生は行くの?」
――来週末、名古屋市内の高級ホテルで病院の創立記念パーティーが行われる。
私は創立記念などに興味はなかったが、【美味しい料理と飲み放題】の言葉に綾子が飛び付き、私は道連れ決定となった。
「唯も行くんだ!俺も行くよ」
座っている椅子をくるりと私の方に向け、先生が嬉しそうに笑った。
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