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「じゃあ行ってくるわ。二次会終わってホテルに着いたら電話するから」
「うん。気をつけてね。佐野さんに『おめでとう』伝えておいてね」
翌日の早朝―――
直人は友人の結婚式に出席するため、出張に行く時よりも少し大きめのキャリーバッグを引いて家を出た。
私は笑顔で手を振り、夫を見送った。
今から、直人はまどかの待つ東京に向かうんだ…
…大丈夫。
何も起こるわけがない…。
信じなきゃ…
直人を信じなきゃ…。
私は彼の背中を見送りながら、押し寄せる不安の波を必死に抑え込んでいた。
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