霞の月

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「日勤だよね?こんな時間まで大変だなぁ。お疲れさま」     口もとを緩める私を見つめ、先生が目尻を下げて微笑んだ。     「うん、最近は特に忙しくて残業ばっかりなんだ。先生も忙しそうだね。主治医の入院患者も増えたでしょ?」   「そうなんだよね。最近、昼飯もまともに食べられない」     「そうなんだ…大変だ。お疲れさまです」     苦笑いを落とす先生を見て、私はぺこりと頭を下げた。       「まぁ立ち話も何だし。一緒に駐車場まで歩こうか。唯の車は…西口駐車場?」     「うん。実は…先生の車の近くに止めた」   ポツリと言って、照れ隠しに「イヒヒ」と笑う。     「あっ、それ俺も時々やる。唯の車を見ると思わず…ね」    先生は横目で私を見て、照れくさそうに返した。
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