崩れゆく心

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「…それ……直人が言ったんですか?…」   放心状態のまま、私はその言葉だけを力なく口にした。     『そうよ。当たり前じゃない。直人も可哀想に…あの人とても性欲が強いでしょ?それなのにご無沙汰って…。まぁ、結婚って男をつまらない生き物にさせるから。それとも…あなたに満足してなかったりして?』     周りに飛び交う笑い声と同調して、彼女の声が私を嘲笑う。 やがてその声は、聴覚から消し去りたいと願うあまりか、次第に遠ざかって行く様にも感じる。     …だから嫌だったのに…この女と話すのは…。     私が勝てるはずもない…     まともに会話できる訳がないんだ…私とは人種が違う。 この人がまともじゃないんだ。      こんな人の話を真に受けちゃ駄目だ…     冷静にならなきゃ…     冷静にならなきゃ…。
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