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私は必死に自分に言い聞かせた。
乱れた呼吸と心拍。
その不快な動悸を鎮めようと、深く吸った息をゆっくり吐き出した。
「…あなたと話してても不愉快になるだけなので。早く直人に…」…代わってください。
そう続けようとした時、
『唯さん、そろそろ直人を私に頂戴』
小馬鹿にしたような響きを持つ彼女の声が、私の言葉を遮った。
「えっ…」
信じ難い言葉に茫然として、
今、なんて言ったの?―――わが耳を疑う。
…いや、聞く必要なんて無い。
やめて…
もう何も聞きたくない。
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