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「やっぱり…そうなんだ…」
「本当に…本当にすまない…」
「…いつから?半年前から?」
怒りなのか…悲しみなのか…
背中に電気が走る様な痺れが来たと同時に、手が震えだす。
胸が苦しくなり、言葉を上手く発する事すらできない。
「半年前…初めてまどかの店に行った日。佐野と別れてから二人で飲みに行って…。でも、それ一回だけなんだ!本当にそれからは何もない…本当だ!」
直人はソファーから立ち上がり、私の左腕を掴んだ。
その拍子に持っていた洗濯物が足元に散乱する。
そう言えば…
以前、彼氏に浮気をされた友人に慰めるつもりで言った言葉があった。
【本気じゃないんだから、たった一度の事だから】
一度の事…
それが、一体何の慰めになるのだろう…
本気だろうとその場だけの遊びだろうと、一回であろうと十回であろうと…
そんなのは関係ないんだ…。
一度でも自分以外の女に触れ、キスをし、体を重ねる…。
今、私に触れているこの手でまどかを抱いたんだ…
あの、まどかをっ。
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