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直人、お願いだから電話に出て!
だだ待ち続けるなんて出来ない。
息が詰まりそう。
手のひらに気持ちの悪い汗をかきながら、私は再び直人に電話をかけた。
プルルル…プルルル…………ッ…
でたっ!!
「もしもしっ!直人?」
『…………』
電話の向こうには、大勢の人の話し声や笑い声。そして、食器やグラスがカチャカチャとぶつかり合う音が騒がしく聞こえる。
外野の音が煩くて、私の声が届いているのかも分からない状態であった。
「もしもし?直人?…直人?」
私は携帯を押し付けた耳に神経を集中させる。
「は~い。もしも~し」
「えっ!?…あの…」…違う。声が…
雑音に押されるようにして耳に届いたのは、紛れも無い女性の声であった。
「もしもし~ …唯さん?…お久しぶりね」
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