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「まどかさん…どうしてあなたがこの携帯に?直人は何処ですか?」
喉に詰まった唾液を飲み込んで声を絞り出した。
驚き…
憎しみ…
不安…
突然の出来事に様々な感情が絡み合い、激しく流れる血流の音さえも聞こえてくるような気がした。
「直人ね、凄く酔っ払っちゃって。今は隣のテーブルで佐野君達と大騒ぎしてるわよ。テーブルに携帯が置きっぱなしだったから、私が預かってあげてたの」
私の動揺を嘲笑うかのように、彼女が生ぬるい声色で言った。
「…そうですか。それは、ご迷惑をお掛けしました。あの、直人に代わって貰えますか」
私は必死に平静を装った。
なんであんたが直人の携帯を使ってるの!?まるで彼女気取りじゃないのっ!
心の中でドロドロとした感情が呼び起こされる。
「あら。そんなに私を避けなくてもいいじゃない。せっかくだから、もう少し話しましょうよ。私ね、今歌舞伎町で働いてるの」
私の都合などお構いなしで話し出すまどか。
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