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「綾子…私ね、直人から真実を聞かされて凄くショックだった。聞いてからどうして自分から問いただしてしまったのか…後悔もした。
でも、自分の中で、心のどこかで解放された自分がいたの。裏切っていたのは、私だけじゃないんだって…」
「……」
「私のした裏切りと比べたら、直人の体だけの関係なんて大した事じゃないのかも知れない。それでも、自分の罪が少しでも軽くなる様な気がしたの。こんな状況なのに…私って、本当に酷いよね…」
…まともじゃ無いのは、いかれているのは、まどかさんでは無く…私かも知れない。
私はうつ向き、零れ落ちる涙を指で拭い取った。
「…人間なんて、みんなドロドロした感情を持ってる。綺麗事ではどうにもならない時だってあるよ…」
綾子はポツリとそう言って、側にあったタオルをそっと私に手渡した。
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