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「私…これからどうすればいいんだろ…もう、頭の中真っ白で考えられない…」
綾子が渡してくれたタオルを受け取ると、涙をふき取りながらそのまま顔を伏せた。
「ゆっくり考えなよ…。先生には?何か話した?」
「…何も言ってない。迷惑かけたくないし…」
「あの人は、唯の事で迷惑だなんて思わないよ…。唯の気持ち次第でどうなるかなんて分かんないじゃん」
「どうなるか…って、どう言う事?」
私は伏せていた顔を上げ、綾子を見て首を傾げる。
「だからさぁ~前に話した先生と歩く未来の話だってば!唯は全く考えてないの?」
綾子はテーブルに肘を乗せ体を乗りだし、私の顔をマジマジと見つめた。
「考えてないの…って。直人の事を考えるのに必死で…そんな大それた事考えられないよ。…って言うより、考えない様にしてた。
それに、先生はもう二度とさゆりさんを裏切らないよ。確かに今でも私を大切に見守ってくれてるのは分かるけど…だからってそれ以上の事は先生だって望まない。…私の存在は、もう思い出に変わっちゃってるよ…」
弱々しく言って、苦し紛れに笑顔を作り出す。
「そうかなぁ…。本当に唯が必要とするなら、先生は受け止めてくれると私は思うけどなぁ…」
口をへの字に歪め、意味有り気に綾子が呟く。
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