雨音

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さゆりさんの勤務している薬局… 河合薬局。   その小さな調剤薬局は、先生のマンションから少し離れた場所にある、個人病院の真横にあった。     私は薬局の駐車場に車を止めた。     傘をさして駐車場内を見渡す。     …あった!     さゆりさんの車…  確かにここで働いてるんだ…。       私はゆっくり薬局の正面へと足を進めた。     ガラス張りの正面からは、中の様子がよく見える。     薬の処方を待っているだろう患者さんが4人、こちらに背中を向けて座っている。   そして、レジから奥に伸びる調剤室に視線を移した。   見える白衣からして…おそらく、3人の薬剤師。     あの中に、さゆりさんがいる!      どこ…     顔がよく見えない…       あの女の人?こっちを向いてっ!       ドキドキと早まる鼓動。 緊張感で傘を持つ手に汗が滲む。     その時、一人の白衣を着た女性が手に籠を持ち調剤室から出てきた。
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