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女性はレジの前に立つと籠の中の紙を取りだし、患者さんの方を見渡した。
ハッとして、私は慌てて傘で顔を隠した。
そして前を通り過ぎるかの様に、体をレジから見えない位置まで移動させる。
…びっくりしたぁ…
あれ…さゆりさん?
よく、顔が見えなかった…。
…私、絶対不審者だよね…
でも…ここまで来たんだ。
さゆりさんの顔を見に…。
急いでバッグから携帯を取り出す。そして、そのまま携帯を耳に当てた。
正面の自動ドアの前にある柱に体を寄せ、傘で半分顔を隠し、携帯で話をしているかの様な仕草をして見せる。
これで、迎え待ちしてる患者さんに見えるよね?
自分の行動に馬鹿らしさを感じながらも、私はその場所から動く事ができなかった。
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