雨音

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傘を傾け再び視線を中へと戻した。     すると、今度は先程の薬剤師の顔がはっきりと見えた。       …さゆりさん…。       胸に付いている名札に視線を飛ばし、小さい文字に目を凝らす…   【水島】     間違いなく、その文字が見える。     さゆりさん…     あなたを見るのは、1年ぶりくらいかな…       あなたも私に会いに来ましたよね?       私もあなたに会いたくて、こんな所まで来てしまいました…。       花が咲くような明るい笑みを放ち、患者さんに薬の説明をするその女性を見つめる。     汚れを知らない…   一途で、純粋な笑顔…。        可愛らしい…愛らしい…       彼女には、そんな言葉が似合う気がする…。
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