雨音

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こんな事したって…意味ないのに…     なんて…惨めな私…。     私は彼女に背を向け駐車場へと走り出した。     走る水しぶきでサンダルも足もびしょ濡れになる。     車のドアを開けた拍子に、傘が後ろへと弾き飛ばされた。     雨が頭上から私の体を叩きつける。   私は傘を拾うと、その場でしゃがみ込んだ。     髪からポタポタと流れ落ちる雨…       先生…       先生…       …助けて…       「助けてっ!…」      暗闇の中、私は雨に打たれながら届かぬ言葉を泣き叫んだ―――。
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