雨音

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私の中に後ろめたさがなければ…   私が直人を裏切ってさえいなければ…   ただ怒りのままに直人を責め、込み上げる憎悪感に任せてまどかを罵る事ができただろう。     しかし、私にはそれができない。   真実を知ることで自分自身を追い込む―――     心のどこかで、分かっていたはずなのに…。       なぜ私は自ら壊してしまったの?       私達が築き上げた4年間を…     信じることを誓った私の心を…     罪悪感を背負いながらも、家庭を守ろうとした直人の心を…       そして―――   先生との約束を…。         車はただひたすら国道を走り続けた。     そして気がつくと、私は先生のマンションの下に車を止めていた。
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