254人が本棚に入れています
本棚に追加
綾子のマンションは、病院から車で15分ほど走った場所にある。
辺りは新しい家ばかりが数件並ぶ、静かな場所だ。
綾子は2週間前に寮からこのマンションへと越してきた。
2階に上がり左奥の部屋の前まで行くと、私は少し躊躇いながらチャイムを押した。
焦げ茶色の扉がゆっくりと開き、「いらっしゃい」と、綾子が笑顔で迎えてくれた。
「本当にごめん。こんな時間に…」
「何言ってんの?私と唯の仲でしょ?今更遠慮しないでよ。ムズ痒くなるじゃん。まだ段ボールだらけの部屋だけど、上がってよ」
綾子は笑いながら、新品のスリッパを置いた。
廊下の突き当たりにあるリビングの扉を開ける。
すると、
「唯ちゃん、いらっしゃい。久しぶりだね~」
今度は、綾子の婚約者である翔ちゃんが笑顔で迎え入れてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!