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…ここで全てを話したら、どうなるの?
私は自分の罪悪感から本当に解放されるのだろうか…
直人はどうなるの?
他の男を愛したまま結婚をした女を憎み罵り、きっと許しはしないだろう…。
少なくとも…
私達はそれで終わりだ。
万が一、私を許してくれたとしても…上手くいくはずが無い。
人の心はそんな単純なものでは無い。
裏切られ続けた憎しみと、新たに生まれる罪悪感。
何の為の結婚生活なのか…
一緒にいる意味はなに?
本当の優しさとはなに?
本当の誠実さとは、なに?
打ち明ける事は、ただの私の自己満足?
―――私は全てを壊したいの?それとも、守りたいの?…
「直人…来週には帰るから。ちゃんと話そう…お願いそれまで…」
私はうつ向き、溢れ落ちそうになる涙を堪えた。
「うん…分かった。唯が帰って来るの待ってるから」
直人は静かにそう言って、私を気遣うように目尻を下げて微笑んだ。
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