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普段は白一色の医療関係者も、今夜は華やかな衣装と装飾品を身に纏い、きらびやかな空気が会場を埋め尽くす。
「ちょっと唯!見て見て!あそこの久保田主任、ド派手!一昔前の、紅白出場してる小林〇子みたい。ウケるわぁ~」
綾子がシャンパングラスを取りながら「ププッ」と吹き出し笑いをした。
「本当だ。ありゃ気合い入れすぎだわ」
綾子に続いてシャンパンを手にし、ククッと喉を鳴らす。
「記念式典って凄いね~!忘年会より豪華だね。料理もそこいらのホテルとはランクが違うわぁ~」
フォアグラ…キャビア…北京ダック…フカヒレ…
取り敢えず一般市民の私たちでも見て分かる、高級食材と呼ばれる料理達がずらりと並んでいる。
「ねぇ、あの肉の塊何だろ?」
私は肘で綾子を突っつき、大きなチャーシューの塊のような肉に視線を置く。
「知らん。とにかく片っ端から高級品を食べ尽くすのみっ!あ、ワイン貰ってこよ~っと」
そんなお洒落して、結局は色気より食い気かよ…
はしゃぐ綾子を見て可愛らしく思いながらも、呆れ笑いを溢した。
そして、視線を会場の来賓客へと移す。
…先生、まだ来てないのかな…。
スーツ姿の男性を順番に目で追っていく。
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