創立記念パーティー

6/11
前へ
/32ページ
次へ
「水島先生、まだ来てない?」   サラダとフォアグラのステーキが盛り付けられたお皿を、綾子が渡してくれた。   「ありがと。うん…まだ来てないみたい」     「まぁ、そのうち来るでしょ。まだパーティーは始まったばかりなんだし。うわっ!このステーキ柔らかくて美味しい!唯も食べなよ」   フォアグラを頬張る綾子が、輝いた目をして感激の声をあげた。   「うん、そうだね。そのうちに来るよね」   私は頷いて、ステーキを一切れ口に運んだ。        「相変わらず、二人は仲がいいんだね」   突然、私たちの背後から男性の声が聞こえた。   私と綾子が同時に振り返る。     「…結城先生…」     綾子より先に、顔を強ばらせた私が声を絞り出した。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加