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私は、直人とまどかの関係を先生に話した。
先生はずっと黙って話を聞いていた。
そして時折、険しい表情を見せ唇を噛んだ…。
「綾さん…教えてくれてありがとう。絶対に唯には言わないから。約束は守るから」
そう低い声で言うと、先生は背を向け薄暗い廊下へと歩いて行った。
―――私は、唯の許可なく真実を話してしまった。
それが今後どう二人に影響するのかは分からない。
先生の心を乱してしまったのも確かだ。
でも、私には自信が無かった…
今後もあの真剣な眼差しを前に、知らない振りをする自信など…私には無い。
そして、私自身も期待していたのかも知れない。
あの人が暗闇から唯を救い出してくれる事を…。
「唯…ごめん。言っちゃったよ…」
私は、消えてゆく先生の背中を見つめ呟いた。
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