綾子の思い

6/13
前へ
/32ページ
次へ
あの雨の夜から2日が経った―――   しばらく日勤が続く私と唯は、毎朝一緒に家を出る生活をしていた。       「先生、今日は第3水曜日だよね。今夜、あの子と電話しないの?」   先生がステーションを出て一人になった所を見計らい、私から話し掛けた。     「綾さん…なんか、またフラれたよ。今日は旦那さんの出張の予定が変わって、家に居るんだってさ」     先生は気まずそうに指で鼻を擦り、小さなため息を落とした。 「直人が家にいる?…あの子がそう言ったの?」   私は目を見開き、ガックリと肩を落とす彼に言葉を返した。     「うん…そうだけど。それがどうかした?」   先生は私の顔をマジマジと見て、首を傾げる。       やっぱり… 今でも唯は何も話してないのか…。        「先生、唯は先週の日曜日からずっとうちに泊まってるよ…」    
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加