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「えっ!?綾さんちに?何で…」
「それは…直人が…ちょっと、色々とあって…」
直人がまどかと東京でエッチして来ただなんて…取り敢えず、ここでは言えない。
私は躊躇い言葉を濁した。
「唯が家を出るなんて…。もしかして、旦那さんが東京に行った時に何かあったの?」
一瞬にして、先生の顔からいつもの穏やかさが消えた。
案外、見かけによらず勘の良い男?―――助かる。
「……」
私は先生の目を見て、黙って頷いた。
「…そう。綾さん、いつもありがとう。…唯を…お願いします」
険しい目の奥に映る、悔しさ…悲しみ…愛情…
それ故の悲痛な思いが、ヒシヒシと伝わってくる。
「うん…分かってる」
私は目頭が熱くなるのを堪え、咄嗟に先生から目を逸らした。
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