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「いや、流石に結婚したら先輩も誘って来なくなったみたい」
「へ～。まあ、奥さんと式で顔合わせちゃったから、先輩も誘いにくくなるわなぁ～。…で、今日は直人は何してるの？」
私は唯のグラスにビールを注ぎ、さり気無く直人の話題に触れてみる。
「昨日の夜から高山に出張。金曜の夜に帰ってくる」
「…電話したの？」
「うん。いつも朝電話かかって来るから…」
唯は心配をする私に気を使っているのか、薄っすらと笑顔を浮かべ答えた。
「…直人、帰って来いって言ってくる？」
「帰って来いって言うか…話をちゃんとしたいから、話ができるまで気持ちが落ち着いたら帰って来て欲しい。みたいな…」
唯はうつ向き、フォークを扱う手を止めた。
「…そう。…唯はどうしたいの？」
「それが…本当にどうしていいのか分からない。こうして逃げてちゃいけない事は分かってる。分かってるけど…今は直人と話すのが怖い…。
直人の顔を見たら、罪悪感に押されて自分まで罪を打ち明けてしまいそう…。きっと、今の私は逃げる道を選ぶ…」
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