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綾子の思い
やっぱりね…
いずれまた私に聞きに来ると思った。
「先生が私に聞きたい事なんて、唯の事くらいでしょ?」
目尻を下げて、フッと柔らかな笑みを浮かべた。
「うん…ごめん。また唯の事なんですけど。だって、綾さんが凄い気になる事を言うからさぁ…」
「気になる事?…私が?」
何か、言ったっけ?
きょとんとして、先生を見つめる。
「唯を奪っていいとかなんとか…」
「ああ、それね。言った言った、確かに言ったわ」
「言った言った。じゃないって。俺は凄い気にしてたのに。…実は、あれから唯と仕事帰りに会ってその話をしたんだ。唯は何でもないって言ってたけど…やっぱり唯なんか様子がおかしい気がして。元気ないし…。それに俺、避けられてる気がするんだよね…」
先生はそう言って、小さなため息をついた。
「避けてる?唯が先生を?…何で?」
私は再び不思議そうに言葉を返した。
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