276人が本棚に入れています
本棚に追加
「先生…私と綾子のさっきの会話…もしかして、先生は何か知ってるの?」
次第に気持ちが落ち着いた私は、先程からずっと気になっていた疑問を口にした。
私が車に乗る前に綾子が言った言葉…
それを聞いた先生は、全く驚いた様子を見せなかった。
まるで、こうなる事を予想していたかの様に…
「ん~…ちょっとね。綾さんから…」
先生はフロントガラスに視線を置いたまま言葉を濁した。
「やっぱり綾子から…。絶対に何かあると思った。で、先生は綾子から何を聞いたの?」
私はため息を切って、先生の横顔を見つめた。
「まぁ…その話は車を止めてから。後でゆっくり話そ。それに、綾さんにしつこく聞いたのは俺なんだ。綾さんはずっと唯を心配してた。勿論、初めは俺に話すつもりもなかったと思う。だから、綾さんは悪くないから。とにかく、今はその話は御預けにしとこ」
先生は微笑むと、私の右手に軽く触れた。
最初のコメントを投稿しよう!