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すらりと細身の長身。
黒に近いグレーのスーツに、細いストライプの入ったブルーのネクタイ。
普段職場では真っ直ぐな黒髪は掻き上げ、整髪剤で毛先に自然な動きがつけられている。
マジで…
カッコ良すぎるんですけど…。
初めて見る先生の正装姿に見惚れ言葉を失った。
「今日はまた、二人とも綺麗だね」
先生は私と綾子を交互に見てにっこり笑う。
「二人とも?どうせ先生の目には、唯しか映ってないんでしょ~」
綾子が先生に向けた視線を私に流し、艶やかな唇を尖らせた。
「本当に綾さん綺麗だって。…確かに、唯を見ちゃうけど」
先生が少し照れた様子で、遠慮がちに呟いた。
「はいはい、勝手に言ってな」
大きなため息をつき綾子が呆れ笑いをした。
「先生も凄くカッコイイ!スーツ似合うね」
「本当に?スーツなんて何年ぶりだろ。唯もその服似合ってる。凄く綺麗だよ」
先生がほんのり耳を赤らめ、目尻を下げた。
「先生、スーツ似合う似合う!まるで積極性のないホスト君みたい!」
照れ顔の彼を茶化して綾子がケラケラと笑った。
「どういう意味?積極性のない…それってホストとして駄目じゃん!…俺、また弄られてんのか!?」
「確かに…積極性はなさそう」
私も言って、綾子と顔を見合わせクスクスと笑った。
「あーっ!唯まで。悪かったねぇ、華のない顔で。もう何とでも言ってくれ」
ふて腐れた仕草を見せ、先生は腕を組み苦笑いをしていた。
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