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「あ、そうか!もう橋なんだ。ここに来るの久しぶりだ~」
沈んだ気持ちを掻き消そうと、先生の横顔に微笑んだ。
「うん。俺もあれから来てないからなぁ…1年半くらい経つよね」
先生は、横目で私を見て微笑み返す。
右折をして、緩やかな斜面を登るとそのまま港の橋へと続く。
運転席の右側には市内の夜景が一望できる。
「前より少し時間が早いからかな?今日は灯りがまだたくさん見えるね」
河口から街まで一直線に伸びる川を、白い街灯達が両側から優しく包み込む。
温かい光は、水面に浮かぶ光のアーチとなって目に映る。
「ここからの夜景は最高だよな。ほら、もうすぐあの工場が見えるよ」
先生の声で視線を左側の窓へと移した。
海に浮かぶ巨大な工場。
その規模の大きさは、映画に出てくる要塞のように独特な雰囲気を持っている。
「私、あの赤い光が凄く好きなんだ…」
工場の至るところから見える、赤い光を眺めた。
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