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「それにね、直人を最初に裏切ったのは私なんだしっ。えっと…因果応報!それだよそれ!やっぱり神様は見てるんだよね。
なんか…私って情けなくてみっともなくて…何やってんだろうね」
滲む涙を必死に堪え、上手に笑って見せる。
まともに先生の目を見ることが出来ない。
笑わなきゃ…
笑わなきゃ…
泣いちゃ駄目だ…
大丈夫。私はまだ、笑顔でいられるから…。
膝の上で拳を握りしめ、必死に自分に言い聞かせながら先生の顔を見上げた。
と、その瞬間―――
先生の腕が私の体を引き寄せ、そして強く抱きしめた。
えっ…せんせ…い…?
「頼むから、もう笑わないでくれ。頼むからもう俺の前で無理して笑わないでくれよ…唯が一人で頑張ってるの見てると、俺どうにかなりそうなんだ。今の唯を見てられないんだっ」
先生は私の体を、強く…強く抱きしめた―――。
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