創立記念パーティー

5/15
前へ
/31ページ
次へ
  「あっ!唯、見てっ。先生が、群がる雌達に襲われそう!」   私の問いから逃げる様に、綾子が突然前方を指さし叫んだ。     「はっ?!雌達に襲われる?」   また誤魔化された!?と思いながらも、まんまとその大きな声につられて、急かされる思いで綾子の指の示す方向に視線を向けた。     視線の先には2、3人の後輩達に囲まれた水島先生がいる。     「なんだ~。雌達って、消化器病棟の2年目の子達じゃんか」     「なんだ~じゃない!きっとあの子達、『水島先生~格好いいですぅ~』とか何とかピンクい声を出して、あの生真面目クンを若さで誘惑してるに違いない!」     「綾子、なに怒ってんの?若さへのひがみか?」     「うん。ひがみ。年々若さが憎らしくなるから」   綾子はヘラヘラと笑いながら席を立った。     「…どこ行くの?」   瞬きをして綾子を見上げる。       「どこって、煩い雌を追い払いに!さぁ、唯も行くよ。先生を奪い取れ!」     綾子はフンと鼻を鳴らし力強く言って、私の持つグラスを奪いテーブルに置いた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

276人が本棚に入れています
本棚に追加