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「お腹一杯だし、飲み過ぎたし。このまま帰ろうか。先生も今夜はお酒飲めないしね」
綾子が柱から体を離し、手に持っている白いバッグをプラプラと左右に振った。
「なら、少し遠回りしてドライブ気分で帰りましょうか?」
そう言って、先生が上着のポケットから車の鍵を取り出した。
「ドライブ!行きたい行きたいっ!」
私は、はしゃぎながら綾子の腕に手を回した。
「おいおい、腕組む相手を間違えてないか?」
「だって…できる訳ないじゃん。…したいけど」
まさかの状況に上機嫌の私は、照れ隠しで綾子の腕に甘える様に抱きついた。
「女に抱きつかれても嬉しくない!」
綾子は肩を引き、肘で私を振り払おうとする。
「意地悪~。そんな事言わないでよぉ~。ほら、私を翔ちゃんだと思ってさっ」
それでも親友の腕にしがみついて、上目使いで「ふふっ」と笑う。
「…それも大して嬉しくないね」
そんな私達のおふざけを、「ははは!本当に仲いいよなぁ~」と、先生は微笑みながら眺めていた。
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