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「私達…きっと遅すぎたんだね…」
私は肩を落とす彼を見つめ、小さな声で呟いた。
「私達…過ちに過ちを重ねて…一緒に歩んでいくと誓った相手を裏切り続けて。あげくの果てに、逃げても一緒になる道も選べなくて…。結局は、愛を貫く勇気がなかった。一緒になる道を初めから断ち切ってたんだね。…本当、何してるんだろ…」
「……」
先生はうつ向く私の手から湯呑みを取りテーブルに置いた。
そして、壊れ物を扱うかのように優しく私の体を抱きしめる。
「唯…それ以上言わなくていいよ。もう、唯の中で結論はでてるんだろ?俺もきっと、唯と同じだ…」
先生は低く掠れた声でそう言った。
私達の選んだ道…
それは、
再び別々の道を歩むという、決断であった―――。
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