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「唯…どうした?」
「…先生…違うの…」
止めどなく溢れる涙を、手のひらで何度も拭い消す。
それでも涙は私の頬から耳を伝い、首すじへと流れ落ちていく。
肩を震わせ泣き続ける私。
そんな私を見つめる彼の瞳は、悲しげな色に染まっていく。
そして、涙で濡れた私の手をとり握り締めた。
「唯…ごめん。こんなに苦しめて。分かったから…もう恐がらなくていいから…」
彼は切なげにそう言って、私の頬に自分の頬を押し当てた。
「違うの先生…私は先生が好き…本当に好きなの…」
こんなにも好きなのに…
どうして?…
やっと手に入るのに。
一番欲しかったんでしょ?
ずっと、願ってたんでしょ?
いい子ぶって罪悪感を抱えたって、
結局はこうなる事を望んでいたんでしょ?
全部壊したかったくせに…
奪ってやりたかったくせに…
今なら…手に入るのに…
……
手に入れたら…
全てが壊れたら…私達…
…どうなるの?
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