永遠の恋人 最終章

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春が過ぎ…また春が訪れ―――   凛が2歳になる春を迎える、3月上旬。 先生が4月に大学に戻る事が正式に発表されたと、綾子から知らせを聞いた。      ――――――   「後輩から聞いたんだけど、明後日、先生引っ越しみたいだよ」   10か月になる子供に離乳食を食べさせながら、綾子がポツリと呟いた。 綾子も昨年の初夏に女の子を出産した。柄にもなく専業主婦の仲間だ。 「家に閉じ籠るの嫌い!」そう言いながら、毎日の様に娘の千咲(ちさ)ちゃんを連れて家に遊びに来る。     「そうなんだ…大学の近くに引っ越すんだね」   私は温かい紅茶を飲みながら、隣の部屋でおままごとをして遊ぶ凛を眺めて言った。     「唯、良かったね。 先生の希望通り大学に戻れてさ」     「うん。勉強熱心な人だし、大学でもいっぱい勉強して博士号取って、専門医の資格もバンバン取って、きっと立派なドクターになるよ」     口から離したティーカップをゆっくりと置いて、綾子に視線を移し微笑んだ。     「うん。そうだね、絶対なるよっ。知識だけじゃない。いつまでも優しい、立派なドクターに」 千咲ちゃんの小さな指をタオルで拭きながら、すっかり母親の顔になった綾子が微笑み返した。
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