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そして悠哉の元へと運ぶ。
「悠哉、お水です」
そう声をかけると、のっそりと体を起こしはじめた。
コップを受けとり一気に飲みほす。
そしてフゥッと一息ついて、ガクッと頭を下げた。
その様子を見届けた私は、耐えられずプッと吹き出し笑った。
私をチラッと見てくる悠哉。
「あ、ごめんなさい」
口に手をあて、パッと悠哉から視線を外した。
だって、こんな悠哉初めてじゃない?
仕事の付き合いはともかく、お酒を飲んで帰ってくることなんて全くなかった。
それに、いっつも私に風邪引くからベットで寝ろってうるさいくらいなのに。
まだクスクス笑う私を横目に、何やら呟きはじめる。
「…くそ、参ったな…。こんなことになるとは…。あいつはきっと異常だ」
「…あいつって、誰ですか?」
私の問いに悠哉が答える。
「黒田だよ。あいつが誘ってくるのはわかってた。…いつものことだからな。だが昨日は、お前を呼べって言って聞かない」
「え?私!?」
「ああ。…これは黒田を潰すしかないと思ったのが間違いだった…」
そう言って再びガクッと肩を落とす。
「俺がさきに潰れることになるとは…」
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