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会長が日本にいる間、古くから付き合いのある社長や友人、関係者を招き、ホテルやレストラン等を貸しきって、食事を含めたパーティを開催していた。
これも毎度のこと。
「それでは、お声をかける皆様も同じ方々で…」
「ああ、いやいや…」
片桐の問いに、軽く手を上げながら言葉を塞ぐ。
「いつもの方々はもちろんだが、今回は泉くんにも声をかけてくれないかな?」
………泉?
俺はすぐに顔を上げ、会長を見つめた。
泉って…。
「…まさか、…泉、晃一ですか?」
片桐ではなく、俺が聞き返してきたことに不思議な様子で会長は話を続ける。
「晃一?…いや、私が言ってるのは秀一(シュウイチ)くんだが…?…ああ、そうか。泉くんのところも、今は息子が跡を継いでるんだったな」
…秀一。つまり、そこの会長ということか。
だが、俺は晃一でないにしても、腑に落ちなかった。
「会長、なぜそこの会長を誘おうと思ったんですか?」
強い眼差しを持って会長を見つめる。
そんな俺に、首を傾げてきた。
「…逆に教えてくれ。なぜそんなことを聞いてくる?」
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