1046人が本棚に入れています
本棚に追加
目を反らすことなく、真っ直ぐ見つめたまま、俺は膝の上で手を握りしめた。
「ここ最近、そこの会社との関係や今までの業績、歴史や他社との繋がりについてこと細かに調べています。俺が知る限り、あそことうちの会社は今だかつて取引をした形跡がありません。近い立ち居ちにいる会社として、あそこはどう考えても敵…」
「敵対するべき相手だと、そう言いたいのか?」
俺が強く語る言葉に、会長が重ねてきた。
さらに強く手を握りしめた俺は、コクンと頷く。
すると会長は、フゥッと一息つくと、再びソファーにもたれかかった。
「そうか、よく調べているんだな。勉強を惜しまずがんばっているんだと感心するよ」
そしてニコッと笑い、話を続ける。
「そこまで泉くんの会社を調べなければならなくなった問題でも、起きてしまったかな?」
その言葉に、胸がジリジリ熱くなった。
だがそれは、俺だけではないはず。
隣にいる片桐も、俺と同じであろう空気が伝わってくる。
しばらくして、会長が続けた。
最初のコメントを投稿しよう!