口癖-2

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「はい。何度も会長からお話を聞いていましたので」 「あははは!私はそんなに悠哉の話をしていたかな?」 和やかに俺の話をする2人を横目に、やれやれとため息をついた。 …参ったな。昔の俺の話にあまり触れてほしくないんだが。 この調子だと、なるにもすぐ筒抜けになってしまうに違いない。 ある程度覚悟しておかなければ…。 2人の会話が弾むなか、俺はその様子を眺めながらも、胸のなかに新たな決意が生まれていた。 会長、俺はあなたを尊敬してやまない。 その身にまとった空気が人を吸い寄せ、威圧とは全く違うもので人の心を動かし、あたたかい言葉と口調と、知識、教養その他全て、…そして夏野軍二としての存在感。 同じ立場になった俺だからこそ、あなたがどれだけのことをしてきたのかがよくわかる。 まだまだ会長の足元にも及ばないかもしれないが、…できるならば、俺はあなたを越えていきたい。 いや、きっと、越えてみせるよ。 だったら、泉のことを気にかけてる場合じゃないよな。 決意を胸に込めた後、俺は会長と片桐の話に交ざり、久々のこの雰囲気を味わっていた。
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