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「俺の、恋人です」
…わ、わぁぁぁ。
そのいきなりの紹介に、背筋が伸びる。
「は、はじめまして」
そう言って、慌ててペコッと頭を下げた。
すると、女将さんが私を見てウフフと笑う。
「はじめまして。ここの女将です」
そしてペコリと頭を下げた。
「そっかぁ、悠ちゃんに恋人かぁ…。それもそうよね。あんな小さかったのに、こんなにかっこよく育っちゃったんだものね」
過去を振り返るように呟いていた。
そしてパッと視線を悠哉に戻し、またも手を伸ばしていく。
シャツの襟元をピシッと手直しはじめた。
「いつまでも子供じゃないってことなのかしら。すっかり大人の男の顔しちゃって」
そう言われた悠哉は、どこかクスッと笑っていた。
女将さんの手直しが終わると、今度は奥の方へと手を差し伸べていく。
「軍二さんが待ってらっしゃるもの、余談はこれくらいにしておかないと怒られちゃうわね。さぁ、どうぞ。こちらです」
悠哉が歩き始めるその足に続いて、私も進んだ。
悠哉と女将さんの、どこか密接で、大人なやり取りに圧倒されながら。
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