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駐車場に車を止めた後、私たちはお店に向かっていた。
「少し歩くが、平気か?」
「はい!大丈夫です」
そんなの全然余裕。
そんなことよりも、思わぬところで悠哉と手を繋いで歩けたことに、私の心は弾んでいた。
会長と待ち合わせしているそのお店は、大通りから一本入った狭い道を進んだところにあるらしい。
これといった大きな看板があるわけでもなく、意外とひっそりしている場所にたち構えていた。
辺りには、どこか高級感が漂っている。
きっと私一人だったら、中へ入ってみようなんて思えないかも。
悠哉はそんな私の手を握ったまま、どんどん前へと進んでいった。
そして、そのお店の玄関をガラガラッと開ける。
悠哉の後に続いて私も中へ。
入るとすぐに、季節感のある生け花がお出迎え。
その陰から、私たちに気づいた人がスタスタスタとやって来た。
「あら、悠ちゃん。いらっしゃい。久しぶりじゃない?」
「どうも」
ゆ、悠ちゃん!?
私は、やって来た女性と悠哉を交互に見つめた。
「軍二さんならもういらっしゃってますよ」
「そうですか。待たせてしまったかな?」
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